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現代のベルサイユ:フランス国会図書館

ドミニク・ペロー、1994年、パリ

French National Library,Dominique Perrault

セーヌ川からの外観

回りは全て階段。この階段を上ってデッキレベルへアプローチする。裏手の方にデッキと道路がすりつく場所がある。それにしても強引な構成。

  

デッキレベル。ドライなデッキに建つ4本の塔と緑の中庭との対比が鮮やか。

エスカレーターで中庭へ降りると入口がある。

 この建物は、実際に行くまではあまり期待していませんでした。ラ・ヴィレット公園を見た後だったので、どうせまた頭でっかちの建築家が作ったコンセプト倒れの建物に違いないと思ったんです。でも、実際に行ってみると、空間は意外にもリッチで良かったです。

 しかし、この建物に対しては多分賛否両論があると思います。自分も全面肯定はしないし、いわゆる肌に合う建物というわけではありません。デッキの上に立つL字型をした4本の建物が本を現すと言われても、ただのビルにしか見えないし、スケールオーバーした吹きさらしのデッキは人間性のかけらもなく、夏はただただ暑く、冬はセーヌの風をまともに受けることでしょう。

 でも、ここは、フランス。なにしろベルサイユを生んだ国です。しかも、中身は国会図書館。書物というのは文化の蓄積ですから、フランス文化の集大成として、人間の営為の輝かしい成果を高らかに宣言する建物と考えれば、この表現は十分理解できます。そういう意味でこの建物は人のためにというよりも神に向けて作られた建物といった方がいいのかもしれません。(誤解されないように付け加えておきますが、私はベルサイユが大嫌いです。)

 単にシンボリックなだけであれば、イヤミな建物に違いありませんが、そういう外観から受ける印象とはうらはらに、デッキから木々に囲まれた中庭に降りて行くと、実に落ち着いた空間が展開するのがこの建物の真骨頂だと思います。ドライなデッキと深い緑の対比がめちゃくちゃシンプルでカッコイイ。一旦、持ち上げといて落とす、じゃなかった、落としといて持ち上げるそんな感じですね。

 4本の塔は収蔵庫となっていて、普通なら地上を図書室に地下を収蔵庫にするところを、わざわざ逆にするあたりもかなり強引ですが、これくらい徹底されるとかえって気持ちがいい感じがします。

 内部は両端に入口があり、中庭に面してぐるぐると廊下があってその外側に図書室という極めてオーソドックスな構成なんですが、基準となっている大きめの空間をそのまま使ったり、2層使いにしたりして、外からは想像できないような変化のある空間が生まれています。この方法は、蔵書が増えてもある程度対処できるように考えられた機能的にも大変優れたシステムです。

 しかも、感心するのは利用者のマナーの良さ。ここは30フラン少々を払えば世界中の誰でもが利用できる施設ですが、とにかく異様に静か。本当に本をめくる音しかしません。当然、写真なんか撮れる雰囲気ではありません。許可を取る取らない以前の問題としてこの雰囲気を壊す気には到底ならなかったので、申し訳ありませんが、内部の写真はありません。

 それと、もう一つ。外観もこれだけシンプルなのにデッキ面だけでも相当写真にしたくなるシーンが多かったという点も付け加えておきます。それは良い建築の一種のバロメーターのようなものですから。

3層ほどの深い中庭。こちら側と反対側が入口。

遮光のための木製のスクリーン。この建物は家具や建具には相当金を使っている。

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