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宙に浮く円盤:フランススタジアム

M.マカリー+A.ズュブレーナ&M.レジェンバル+C.コスタンティニ、

1998年、サン・ドゥニ(パリ郊外)

Stade de France,M。Macary+A.Zublena&M.Regenbal+C.Constantini

メトロ駅を出ると、エッフェル塔の1.5倍の量の鉄を使った巨大な吊り屋根が姿を現す。

上の階へのアプローチ

 ご存じ、フランスワールドカップが行われたスタジアム。パリにはもともとパルク・デ・プランスというサッカー専用競技場があるけれど、収容人員はわずか48000人、ワールドカップの決勝の舞台としては役不足なので、このスタジアムが新設された。ただし、ワールドカップのために新設されたのはここだけで、あとは、すべて改修。もともとある程度の施設が整っているとはいえ、なんでもかんでも莫大な金をかけて新設するどこかの国とはえらい違いである。

 このスタジアムがある場所は東京で言えば、川口とか戸田とかそんな感じの場所。アクセスは良く、地下鉄と近郊電車(RER)の両方を利用できる。シャルル・ド・ゴール空港から道路や電車でパリへ向かうとパリの市街に入る直前にこのスタジアムの真横を通るので、ランドマークの役割も果たしている。

 このスタジアムのデザインは宙に浮いた円盤が全てといってもいいかもしれない。近づいた時よりも遠景の方がスタンドとのバランスがいい。特に、夜景はすごくシュールで美しい。屋根に使われている鉄骨はエッフェル塔の1.5倍の重量があるそうだが、縦と横の違いかとてもそんなふうには見えず、とても軽快感がある。

 デザインだけでなくスタジアムとしても良くできている。特筆されるのは、試合が非常に見やすく臨場感が抜群という点だ。多目的競技場だが、サッカー時には陸上のトラックはスタンドの下に隠れ、専用競技場と変わらないスタイルとなる。スタンドの傾斜もゆるすぎずきつすぎず丁度いい。千駄ヶ谷の国立競技場より一回り大きいけど見やすさと臨場感はこっちの方が断然上である。コンサート時はアリーナまでスタンドになり、105000人を収容、サッカー使用時は80000人、陸上に使うときは前列が収納されるのでその分、キャパは減る。この方法は陸上とサッカーを兼用するのに極めてうまい解決方法である。とにかく、陸上競技場でサッカーをやる場合、スタンドからフィールドが遠くなり、視線も水平に近くなるので、見にくいし臨場感がなくなってしまう。だからヨーロッパではサッカー専用とする場合が多い。フランスW杯でもこの競技場以外はすべて専用競技場だが、こういう解決方法なら兼用でもいいと思う。

 動線的にもものすごくわかりやすく単純にできていて、下の階は地面をそのまままっすぐ進めばそのままスタンドに出るし、上の階は階段を登るだけ。へんなところでよけいなことをしていない点は非常に好感が持てる。

 この建物を設計したのは良く知らない人たちだが、コンペで選ばれた設計チームである。コンペではジャン・ヌーベル案の方が審査員の得票ではるかに上だったのになぜか2等にされ、彼は訴訟で損害賠償金を勝ち取ったといういわくつきの経緯がある。ジャン・ヌーベル案は小さい写真で見ただけなので詳しくはわからないが、人々に愛されるわかりやすいシンボル性という点では実現案の方が上だと思う。ジャン・ヌーベルはそういうわかりやすさを嫌う人で、そのかわり思いもかけないような“何か”をかならず用意して来る人なので、それを見たかった気もするけど、とにかく没になってしまったものはどうしようもない。

 フランス現代建築の紹介で空港建築とスタジアム建築を1、2番に持ってきたのは実は訳がある。とにかくでかい。機能的。交通とメディアという現代的な要素を代表していて、集客力が莫大である。こういう施設にこそ、デザインのエネルギーを集約するべきで、それを実現した例として是非とも紹介したかったんです。建築家がやるべき施設は何も美術館や住宅だけじゃありません。

観客席の傾斜もちょうど良い。

闇に浮かび上がる円盤

8万人で埋め尽くされたスタンドは壮観

先端が透けているので、グラウンドが明るく、芝生の生育もいい。

ワールドカップナイジェリアvsデンマーク戦レポート(フランススタジアム)

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