TOP PAGEPersonal Profile世界の建築と街を訪ねるフランス現代建築レポート>カレ・ダール

UEMOT PLANnING & DesiGN OFFice

歴史と対峙するガラスの箱:カレ・ダール

ノーマン・フォスター、1993年、ニーム

Carre d'Art,Norman Foster

メゾン・カレから見たカレ・ダール。鉄骨のファサードが細くて美しい。

メゾン・カレの列柱越しにカレ・ダールを見る。重力の持つ意味が変わったことは明らか。

内部からメゾン・カレを振り返る。正面ではなく、側面を見ることになる。

吹抜に面する部分は全てガラスとなっている。

吹抜部分。透けた階段を通して光が降り注ぐ。

 メゾン・カレは3世紀に作られたローマ神殿。カレ・ダールはその目の前に建っている。ギャラリーと芸術情報センターが合わさったような建物で、コンペによってノーマン・フォスターの案が選ばれた。

 歴史の重々しさから開放されるかのごとく軽快なスティールと透明感のあるガラスによる構成が特徴で、ルーバー状の庇とそれを支える5本の鉄骨柱からなるファサードが重厚なメゾン・カレの重厚な壁面と鮮やかな対比を見せている。わかりやすいといえばそれまでだが、場所と歴史の重みを考えれば、正攻法でいいものをつくるという態度は全く正しいことのように思われる。19世紀以後の発明であるラーメン構造とガラスとスティールを全面に押し出した軽やかなデザインによって建物が重力から開放されたということが2つの建物の間で実に明解に表現されている。

 ただ、全てが新しいというわけではもちろんなく、グリッドによる規則性の重視や、シンメトリーの構成などは、西欧の伝統であるオーダーの重視につながるものがあり、そういう意味で伝統を継承している部分もある。単調にならないような工夫、例えば、ファサードの庇下の部分には一部建物本体からボコッとはみ出した部分があって、最上階はメゾン・カレやニームの街の眺望が楽しめるテラスとなっていたり、そういうところはうまさも感じさせる。

 この建物は、ニームの歴史地区のど真ん中にあるため、地上部分の高さを周囲の建物と合わせた4階建とし、地下はなんと4層も掘り下げられている。従って、ボリューム的な違和感は全くない。内部は、下まで光を落とすため、大きな吹抜が取られ、最上階にはトップライトが取られている。階段や通路も全部ガラスでできているので、上から光がふんだんに降り注ぐ。直射でなく、テントを通過した制御された光であるため、海の底にいるような柔らかな空間となっている。

 同じガラスの建物といってもジャン・ヌーベルのアラブやカルチェとはその扱いは異なっている。ここではフレームの秩序を含めたガラスの箱としての性格が強調されている。また、上からの光の扱いはアラブやカルチェでは見られなかった考え方である。ガラスの建物もいくつか比較してみるといろいろな可能性が見えてきて面白い。

入口を入ると吹抜があり大階段がある。

全てガラスの階段は迫力がある。

程良い日陰を生み出すルーバー状の庇。

屋上のテラス。

エレベーターもガラスでできている。透過と反射が織りなすイリュージョン。

共有部分はガランとした空間。林立する柱が床に反射する。

UEMOT PLANnING & DesiGN OFFice

TOP PAGEPersonal Profile世界の建築と街を訪ねるフランス現代建築レポート>カレ・ダール