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UEMOT PLANnING & DesiGN OFFice |
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私の事務所で取り組んでいる住宅のデザインと技術についての考え方を解説しています。この度、2年ぶりに若干改訂しました。2年経つと技術的な部分はかなり変わるものですね。まさに時代は日進月歩です。でもたぶん本質的な部分は変わらないと思います。(2010/4/ 21改訂)
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「nLDK+個室」の枠組みを超えた自由なプランニングを考えた場合、家全体をゆるやかに領域区分し、ひとつのワンルームとする考えもあるし、伝統的な和室と同じように家具や寝具を可動のものとすることでひとつの空間を転用して使う考えもあります。逆に、自立した大人の集合体であれば、個室を中心として、共有スペースは最小とする考えもあります。少し視点を変えれば、家族の成員ごとにスペースを振り分けるのではなく、アクティビティーの質ごとに区分するという考えもあります。 どういう方針で行くかは、もちろんクライアント御家族のお考えが第一ですが、敷地条件やコスト、住宅の規模にも大いに左右されます。もう一つ重要なのはクライアントの年齢です。若ければ将来の大きな変化を見越しておかなくてはなりませんし、ご高齢であれば、変化への対応よりも現状のライフスタイルをトレースすることが優先となる場合もあります。 いずれにせよ、具体的なプランニングに入る前に、まずどのような空間のタイプを選択するかを想定しなくてはなりません。空間のタイプによってはスペース区分もないかもしれませんし、スペースの概念も今までとは違ったものになると思います。そうなると部屋名すら再定義しなくてはいけなくなるかもしれませんが、一応、スタンダードな区分に従って、プランニングについての考え方を示しておこうと思います。 |
リビングダイニングにキッチンを合わせたいわゆるLDKと呼ばれる考え方は、戦後圧倒的に普及し日本の住宅のスタンダードになりました。しかし、あまりLDKにとらわれるのは良くないと思います。「要は、家族が集まり、くつろげるスペース」という考えで良いのではないでしょうか。タタミがあっても良いし、囲炉裏や暖炉があっても良いし、用途も食事やくつろぐスペースだけでなく、勉強や趣味のスペースがあっても良いと思います。また、テラスや庭とのつながりがあるとふだんも気持ちが良いですし、パーティーなど来客を呼んだときにもより広がりのあるスペースの使い方ができます。 もうひとつ、無視できないのがテレビの存在です。テレビの扱いは家庭によって随分幅があります。テレビばかり重視するのも考えものですが、テレビは空間の方向性を決定するので決しておろそかにはできません。テレビをよく見る家庭ならやはり良いポジションを与えてしかるべきですし、テレビをあまり見ない家でも、将来嗜好がどう変わるかもわからないので、見やすく納まりの良い位置というのを考えて設計しています。
キッチンの考え方もここ何十年かで大きく変わりました。「炊事をするための部屋から、調理そのものを楽しむスペースへと変わってきた」のです。極端な話、食事をするスペースの一部が調理スペースというのもアリだと思いますが、オープンにするか、セミクローズドにするかは、住まい方にも大きく左右されます。キッチンを使う頻度や調理の内容、またどなたが使うか、奥さんがほとんどなのか、旦那さんやお子さんやお友達など他の方も使うのか?そのような条件によって求められるキッチン像は千差万別です。 最初にキッチン形式ありきではなく、ライフスタイルから描き出されるキッチン像を描いた上で、適切なキッチンのあり方を提案するようにしています。
ユーティリティーと言えば以前は家事スペースのことでしたが、それとは違う意味で最近ユーティリティースペースが重要になってきています。つまり、「家族のコミュニケーションの場としての作業スペース」です。昔のユーティリティースペースと区別するためには、「ワークスペース」の方が良いかもしれません。パソコンを使ったり、アイロン掛け、ミシン掛け、洗濯物をたたむなどの家事をしたり、手芸や工作をやったり、あるいはお子さんが宿題をしたり、宿題を食卓でやった経験のある方は結構いらっしゃると思いますが、個室に籠もるのではなくあーだこーだいいながらそういうことをやるのは楽しいはずです。 そういうスペースをどのようにしつらえるかはケースバイケースですが、最近ではリビングやキッチンの近くにそのようなスペースを取ることが増えています。
家族のつながり、家族で過ごす時間を重要視すると、おのずと個室よりもリビングダイニングのような共有のスペースを重視する考えになります。そもそも個室や各室が必要なのか?と考えた場合、極端なケースでは家全体がワンルームでも良いという考えもあります。家が家族のいこいの場であるとすれば、必要なスペースのつながりをまず考えて、区切る必要がある部分を個室として考えるようにしています。 逆に家族が自立した大人の集合体である場合は、共有空間がほとんどなく、個室中心という考えもありえるでしょう。
水回りは、特に狭小住宅の場合、プランニング上の犠牲になり、暗く、狭い場所に押し込められることが多いですが、実は水回りで過ごす時間というのは案外長いものです。ですから、」水回りは光や風が入り開放的な気持ちの良いスペースにしたい」という思いがあります。1日のはじまりにふさわしい朝のさわやかな光を取り込んだ洗面スペース。外の景色を見ながら湯船にゆったりと浸り、1日の疲れを癒すことのできるバスルーム。身だしなみを整えるだけにとどまらず、心身を開放してリラックスできる貴重な時間です。 入浴は日本が世界に誇るべき素晴らしい文化です。空間に限りのある都市型住宅においても、その感覚をできるだけ実現してゆきたいと考えています。また、水回りを開放的に設計すると、湿気がたまりにくくかびにくいというメリットもあります。
バスルームの中にトイレ、洗面を一緒に計画することを3in1などと呼びますが、ホテルなどでスタンダードなこの形式は、もちろん西欧のライフスタイルから来ているもので、日本のようにバスタブの外で水を流す生活様式に適しているとはいえません。また、トイレをバスルームの中に取り込むと、入浴中は他の人は使えないわけですから、入浴時間の長い日本のライフスタイルには不向きです。私の設計では「トイレはできるだけ洗面、バスルームから分離」するようにしています。もちろん、極限までスペースの効率化を図りたい場合やトイレが複数ある場合などはこの限りではありません。
収納に対する私の基本的な考え方は、「モノはできるだけ使う場所に収納する」ということです。使うときに取り出して使い終わったら収納する。その一連の動作がスムーズにいかないと、結局出しっぱなしになってしまったり、逆に使わずにお蔵入りになってしまいます。使用目的がかなり限定されていれば、使うものや使い方をきめ細かく想定し、踏み込んだ設計する場合もあります。ただ、使い方は変化するものですし、想定しにくいものもありますので、「なんでも細かくすればいいというものでもなく、基本的な考えさえしっかりしていれば、むしろ融通を利かせて自由度を残しておくことも必要」です。 | |||||||||
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私の事務所では現在あらゆる構造形式に対応し、木造在来工法、木造ラーメン構造、鉄筋コンクリート(RC)造、鉄骨(S)造の現在存在する基本構法の全てに対応しています。また、私の事務所の場合、混構造が多いのも特徴です。「まず必要な空間を考え、その空間を成立させるのに最も適した構造を選択する」ようにしています。今まで手掛けてきた構造形式は次のようになります。 木造在来工法(構造あらわしを含む) 多くの事務所では構造は対応できる守備範囲があり、木造系か鉄骨・RC系かどちらかに偏っているケースがほとんどです。自由設計の場合、クライアントの希望する構造形式は必ずしも最初から決まっているわけではありません。打合せを少し進めた段階で最初の想定の構造形式を変更した方が良いケースはままあります。選択できる構造に制約があると、結局希望通りに進まず、その事務所が対応できる構造形式で妥協せざるを得ないということになります。 上に挙げたもの以外に、前の事務所では、プレキャストコンクリート造のような特殊な構法も経験しています。また、SE構法についても実績があり、登録建築家になっていますのでいつでも対応は可能です。
建築基準法はあくまで最低限の基準です。例えば、基準法では木造在来工法は壁率の計算という簡便な方式のチェックだけで、構造計算は義務づけられておりません。壁率を満たしているからといって必ずしも安全であるとはいえないのです。したがって、私の事務所では「木造在来工法であっても、必ず構造事務所に構造計算を依頼」しています。 基準法で構造計算が義務づけられている、集成材を使った木造ラーメン構造、鉄筋コンクリート造、鉄骨造の場合でも基準法を機械的に満足すればいいというのではなく、建物や地盤の特徴、材料的な品質のバラツキなども考慮に入れた、現実に即して安全な構造になるよう設計しています。特に「木造在来工法の場合は材のばらつきや割れなどの問題にも配慮し、建築基準法の1.5倍の安全性を確保」するようにしています。
過去の地震を見れば歴然ですが、建物の揺れは地盤の状態によって決定的に左右されます。しかし、地盤についても基準法では地耐力(地面が建物を支える力)については規定がありますが、地盤沈下や液状化現象に対しては、それを防止する対策に関しての有効な規定がありません。従って、基準法を守っていても建物が長期的に沈んだり、地震時に液状化によって建物が大きく傾いたりということは普通に起こり得ます。 瑕疵担保履行法においても、地盤についての扱いは曖昧な部分があります。 私の事務所では、「地盤調査に基づいて、基準法には規定されていないことであっても、適切な地盤の改良を施す」ようにしています。 RCや鉄骨造の場合は、必要に応じてボーリング調査を実施し、地耐力が不足で建物の重量を支えきれない場合は、支持層まで杭を打つことになります。
木造在来工法の基礎形状には、独立基礎、布基礎、ベタ基礎などがありますが、最も安全性の高いベタ基礎を標準としています。基礎の厚さは基準法の基準よりも厚い200mmを標準とし、鉄筋の径や本数も基準法よりも増やし(※)、安全性を高めています。また、防水のために浴室まわりに設ける高基礎はコンクリートブロックではなく、強度のある鉄筋コンクリートとしています。
壁については、基準法に剛性確保の規定がありますが、筋交いは基準法の規定よりも多めに入れ、筋交いの入っていない壁についても原則全て構造用合板(またはダイライトなど)で固めるようにしています。また、屋根や2階の床を固めることは構造的に非常に効果があるのにも関わらず、基準法では火打梁を入れるという規定があるだけで、法の盲点になっています。私の場合、屋根や2階床の水平面についても構造用合板または羽目板で固めることで構造的に頑丈な建物を設計しています。
いくら安全な構造設計をしてもそれを支える材料が脆弱なものだったり、欠陥があったりしては意味がありません。構造材となる木や鉄やコンクリートに関しては、次のような品質管理を行っています。
木はその土地で育った木を使うのが一番良いとされています。寒い地域で育った木を日本で使った場合、シロアリに簡単に犯され湿気にも弱く腐りやすいです。北欧産のホワイトウッドと日本のスギを並べておいた場合、日本のスギはほとんどシロアリの害がなかったのに対し、ホワイトウッドはほぼ全滅という実験結果も出ています。 したがって、構造材の木材については、極力国産の良質な乾燥材を使用するようにしています。 ・宮崎産のオビ赤杉、熊本産の桧 ・静岡県天竜川流域の杉・桧 ・長野県産の杉、赤松、桧 ・飛騨産の杉、姫子松、桧、栗 ・カラマツ集成材(岩手&長野)
鋼材に関しては規格があるので、それをチェックすれば良いですが、問題は溶接です。溶接は全て手作業なので、いい加減な施工は即強度の低下につながりますが、最近はコストダウンのあおりを受けていて、検査も省略される場合が多く、いいかげんな溶接が行われている場合も多いと聞きます。私の事務所では、図面によるチェック、製品検査、超音波探傷試験(溶接がきちんとおこなわれているかを確認する試験)の3段階のチェックを必ず実施し、品質の確保につとめています。
コンクリートは水が多いとひび割れの多い脆弱なコンクリートとなってしまいますので、セメントに対する水の比率(水セメント比)をできるだけ下げたいのですが、下げると今度はコンクリートの流動性が悪くなってコンクリートが回りにくくなるという矛盾が生じます。 そこで通常、水量を押さえつつコンクリートの廻りを良くするために、JIS規格のコンクリートでもAE減水剤と呼ばれる薬品を使用します。私の事務所では、打放しの場合や高品質のコンクリートが必要とされる場合には、通常よりも高性能なAE減水剤を使用しJIS規格以上の高品質のコンクリートを使用しています。その場合は骨材の品質や砂利、砂、セメントなどの分量にもデリケートな管理が要求されるので、コンクリートの試験練りなどを行って品質を確認しています。 |
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私は高気密高断熱ばかりに特化した住宅には疑問を持っていますが、断熱、気密性能を上げること自体は快適性の向上や省エネの面で有利なことはもちろんです。住宅金融支援機構の省エネルギー住宅の仕様を上回る仕様を最低とし、次世代省エネ基準(性能表示等級4)を目標に設計しています。 断熱部位については、構造体の外側に断熱するのが外断熱、内側に断熱するのが内断熱、間に断熱するのが充填断熱です。最近は、断熱というと外断熱が万能のような論調が目に付きますが、いちがいにそうとばかりも言えません。そもそも、建物に要求される性能は多岐にわたりますので、断熱ばかりを考えても意味がなく、「防火」「構造」「防湿」「耐久性」「健康への影響」「仕上材との関係」などを総合的に考える必要がありますが、これがいい、あれがいいという主張のほとんどはそのようなトータルな視点を欠いています。 まず、構造体にとっては、木造、RC造、S造いずれの場合でも、基本的には激しい温度変化から躯体を保護できる外断熱工法が有利です。内部結露についても一般的には外断熱の方が有利です。居住性という観点からは、外断熱はRCの場合はコンクリートの蓄熱効果がいい方にも悪い方にも作用します。一定温度が保てれば快適ですし、暖まりすぎたり冷えすぎたりすると熱容量の大きさが災いして、快適温度に達するまでに時間がかかります。在宅時間が長い場合は外断熱が有利ですが、昼間いない場合は内断熱の方が良い場合もあります。コスト的には外断熱の方が高いですし、一般的には納まり寸法も外断熱の方が多く必要です。
木造在来工法については、柱と柱の間の空間を利用しない手はないので、柱間の充填断熱を基本としています。関東あたりの気候ではそれでも十分と思いますが、寒冷地では断熱性の向上と結露防止を兼ねて、充填断熱+外断熱とするのが良いと思います。木造でも門型ラーメン構造の場合は、構造体の外側での断熱になりますので自動的に外断熱となります。なお、断熱によって生じる壁体内結露対策として、内部からの湿気の侵入を防止し外部側には湿気が掃き出しやすくする、外壁側に通気層を確保することを基本としています。 屋根の場合も原則壁と同じですが、天井を貼る場合は、夏場の熱だまりや冬の小屋裏内結露を生みやすい天井面での断熱ではなく、屋根面で断熱することを基本としています。 床の断熱は床下断熱と基礎断熱の方式に分けられます。床下断熱の場合、床下換気は換気口でなく、基礎パッキン(ネコ土台)を標準としています。基礎断熱(基礎の立ち上がり部分で断熱する)は床下が室内扱いになるため、床下を乾燥状態に保つためには良いのですが、熱容量が大きくなるため冷暖房の負荷が大きくなるのが欠点です。また断熱材を伝ってシロアリが上がって来ないような対策が必要です。「白蟻対策さえきちんとすれば、基礎断熱の方がメリットが多いので、最近ではほとんど基礎断熱を採用」しています。床下の換気を促進するための換気扇も標準装備となりつつあります。 断熱材については、木造住宅の場合はグラスウールはできるだけ使用せず、「ポリエステル断熱材(パーフェクトバリア)を標準」としています。断熱性能はグラスウール並ですが、いったん入った水の放出性に優れている、長期的なヘタリがない、ペットボトルの再利用品なので環境にやさしい製品です。最近では「セルロースファイバーも多く使用」するようになっています。吹き付けるので隙間が生じにくく、防音性、防火性にも優れるのがメリットです。コストの高さも火災保険の安さでカバーすることができます。 土間下スラブについては押出法フォームポリスチレン(スタイロフォームなど)、屋根については、断熱性の高いフェノールフォーム(ネオマフォーム)、基礎断熱については防蟻性に優れたミラポリカフォームなど、部位に応じて性能とコストを見極めながら使い分けています。
鉄骨造の場合は鉄骨部分が結露しやすいので、ALCや断熱パネルなどで外断熱にするかあるいは発泡系の断熱材でまんべんなく鉄部をくるむことが必要です。外壁材にALCや断熱パネルを使う場合はそれだけでは断熱性能が足りないので、発泡系の断熱材あるいはポリエステル断熱材などで補っています。
RC造は躯体を守るという意味で外断熱とする場合が多くなってきましたが、コストや納まりの問題がある場合は内断熱とする場合もあります。外断熱の場合は、防火の必要がない場合は木下地組の間にポリエステル断熱材などを充填していますが、準耐火構造以上にする場合はボード状、あるいは発泡系の認定品の断熱材を使用する必要があります。内断熱の場合はコンクリートに密着させる必要があるため発泡系の断熱材を使用します。
開口部というと熱の損失ばかりを考えがちですが、冬の昼間など熱の取得効果(ダイレクトゲイン)の方も考えないのは片手落ちです。夏の高い日差しを遮り、冬の低い光をうまく取り込むことができれば、真冬でも昼間はほとんど暖房はいらないほどです。室内にうまく熱を蓄熱できればその効果は夜まで持続します。「研究でも南面の大開口は熱損失よりも取得の方が大きい」という結果が出ています。 私の設計では、「内部と外部を結ぶ開放感を重要視していますので、テラスに面した主要な開口部などは必要に応じて大きく取る」ようにしています。開口は大きければ良いというものではありませんが、大きい開口は気持ちの良いものです。スペック一辺倒の発想では決して良い住宅にはなりません。 ガラスは最近では「ほぼペアガラスを使用」しています。場合によっては、より断熱性能に優れたLO-Eペアガラスも使用します。開き勝手については、主要開口部はできるだけオープンになるようにしています。出入りよりも視覚的なすっきり感を重視したい場合は、FIXガラスを大きく取りつつ換気用の小窓と組み合わせるようにしています。また、網戸は全ての窓に設けることを原則としています。 最近は、気密性、防音性、防火性などの性能が以前よりも求められるようになってきましたので、アルミサッシュが中心となりますが、木製建具の良さも捨てがたいものがあります。質感を重視する場合には隙間風対策などもある程度施した上で木製建具も使用しています。
屋根は木造の場合、長尺の金属板(塗装ガルバリウム鋼板)を多く用いています。金属なので長期的には塗り替えが必要(15年〜)ですが、継ぎ目が少なくて済み低勾配でも漏水が少ないこと、片流れなどデザインの自由度が高まること、板金加工で屋根どうしあるいは壁との取り合いなどの納めが容易なこと、軽いので地震に有利など多くの特徴を持ちます。低勾配、片流れ屋根は屋根面で水平剛性を確保できるので、その面でも耐震上有利です。ただし、金属は遮熱面では不利ですので、必ず通気層を設けることで排熱を考慮し、必要に応じて遮熱鋼板なども使っています。。金属の場合、雨音が気になる場合もあるので、ビルボードという断熱兼遮音材を使用しています。 瓦屋根はなんといっても、落ち着きや質感、耐久性といった点では一日の長がありますし、遮熱という点でも有利です。そういう価値が重要になる場合には使用しています。コロニアル葺きは勾配をかなり取らないと、毛細管現象によって漏水が発生する危険があるので、いまのところは使用していません。
日本は雨が多いので、外壁を守るという意味と開口部への雨がかりを防ぐという意味では軒は重要な役割を果たしてきました。ただし、現代の住宅では軒を出せないあるいは出さない方がいい場合もあります。都市部では隣地との距離が迫っているので軒を出すと暗くなり、道路斜線や北側斜線にあたってしまうことも多いです。伝統建築では軒を出さないとそもそも雨仕舞いができませんでしたが、現代の構法では軒はなくとも雨仕舞い的には問題はおきにくいようになっています。 私の場合、「寸法的に余裕がある場合や開口部への雨がかりをなくしたい場合にはできるだけ軒を出すようにしています」が、デザイン的にすっきりさせたい場合や建物周囲の空間が少ない場合は軒は出さないことも多いです。開口部の雨がかりを防ぐためには、屋根の部分を軒としてを張り出すよりも開口部のすぐ上につける小庇の方が有効で、スチール、ステンレスを曲げただけの簡単な小庇を多用しています。 「南面の庇は夏の高い日差しを遮り、冬の低い日差しはうまく取り込むことに有効」なので、敷地条件の許す限りつけるようにしています。
外壁材は、長尺の角波金属板(塗装ガルバリウム鋼板のスパンドレル)を多く用いています。屋根同様に金属なので長期的には塗り替えが必要(15年〜)ですが、継ぎ目が少なくて済み、漏水が少ないこと、軽いので地震に強いことが特徴です。中でも角波板を使用することが多いのは、折りが深く強度があるのと角波部分が通気層になるというメリットがあるからです。 リシン吹付などの塗壁は柔らかい表情を持ち、色の自由度が大きく、錆の心配はありませんが、ひび割れの心配があるので、軒の出を出して屋根勝ちにするのが望ましいといえます。 最近では焼杉を使うことが俄然多くなりました。耐久性はガルバリウムに劣りますが、コストを押さえることが出来、なんといっても自然素材の風情のある質感が魅力的です。下地で防火構造を成立させることで準防火地域でも使用することが可能です。 ハウスメーカーで一般的になっているサイディングはローコストで塗装の塗り替えもいりませんが、質感が今ひとつなのと、継ぎ目をシールに頼らざるを得ない点で採用に踏み切れていません。 RC造、S造の場合は、コンクリート打放し、長尺の角波金属板、ALC板、押出成形セメント板、タイル、金属パネルなど仕上のバリエーションも多くなります。
防水については、現在さまざまな構法が入り乱れています。RCあるいはモルタル下地の場合はアスファルト防水、FRP防水、塗膜防水を使い分けています。木下地の場合はFRP防水、シート防水を使い分けています。変形が大きく防水層が切れる心配がある場合は、変形への追従性の良い複合防水(塗膜防水+FRP防水)の仕様にして安全性を高めています。 | |||||||||||||||||||||||
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内装の床仕上げとして考えられるのは、木床(フローリング)、タイル貼り、カーペット貼り、タタミ、クッションフロアなどですが、最も多く使用しているのは無垢材のフローリングで、国産材・輸入材ともに数多く情報を持つようにしています。無垢材のフローリングは反りや隙、品質のバラツキなどの問題はありますが、肌触り、質感などは薄板を積み重ねた積層タイプのフローリングにはない良さがあります。床暖房との相性についても、ある程度の隙や反りを許容すれば、無垢材で床暖房を入れることは可能ですが、低温でも効果の出るタイプ(設定温度が50度位までのもの)にする必要があります。
壁材についても最近では様々なバリエーションがあり、よく使う仕上だけでも、塗り壁(左官壁)、板貼り、塗装仕上、クロス貼、石貼り、タイル貼り、不燃ボード貼り、特殊なものまで含めれば、それこそきりがないほど多種多様な仕上があります。中でも最近注目されているのが塗り壁です。塗り壁は柔らかく傷つきやすく汚れやすいという欠点はありますが、吸湿性や化学物質の吸着分解性に優れ、強度や施工性、コストなども大幅に改良された製品が出ています。現在は4種類程度の製品に着目し、ケースによって使い分けています。なお、集成材のラーメン構造の場合は、構造を兼ねた羽目板あらわしとすることが多いです。
私の場合、天井も壁同様、構造を兼ねた羽目板あらわしとすることが多いですが、仕上をする場合は天井材も壁材と似たようなラインナップになります。天井は落下の危険があるものは使えませんので、タイル、石、塗壁(薄塗のものは可)は原則として使えません。なお、浴室の天井に木を使う場合はヒバ材などの極めて耐水性の高いものを使用しています。
私の場合、建具は壁に穴を開ける感覚よりも空間を仕切る感覚の方が強く、開ければひとつの空間となり、閉めれば2つの空間になる、そのような使い方が中心です。したがって、引戸や天井までの建具を多く用いています。空間に合わせる必要があるので、既製建具はほとんど使わず、内装に合わせた建具をオーダーしています。建具材は一般的なフラッシュ戸や框戸以外に、若干コストはあがりますが、質感に優れた3層パネル材(トドマツパネルorカラマツパネルorスギパネル)を使った扉も使用しています。
置き家具以外の造作家具は基本的には空間に帰属するものと考えていますので、既製品はほとんど使用しません。家具単体で特別な主張をするよりも、使い勝手を重視し、見た目には空間を引き立てるシンプルなものとすることがほとんどです。ただし、玄関回りや水回りなどシンボリックに家具を扱った方が面白い場合もありますので、その場合は家具が引き立つようなデザインをすることもあります。家具工事は建築工事の中でも一番緻密な部分ですので、お金さえ掛ければかなりのことができますが、逆に歯止めを設けないと価格の方も青天井ということになりかねません。コストダウンの第一のポイントは作り方を工夫すること。また、仕上りが多少荒っぽくてもよければ、大工工事+建具工事としたり、家具工事でも塗装を現場塗装とすることでコストを下げています。 |
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日本は四季折々の気候の変化に富んだ国ですから、内部だけで完結した家というのは面白くありません。外部のスペースも内部同様生かしたいものですが、リビングなどのインテリアから延長した部分にテラス、デッキ、バルコニーなどを設けると、視覚的にも広がりが生まれますし、天気のいい日は外で食事したり、開け放しにして内外を一体的に使ったり、より豊かな暮らし方が可能になると思います。 デッキ材に適している木は国産だとクリ、カラマツ、ヒノキ、輸入材だとウリン(アイアンウッド)、ジャラ、セランガンバツ、イペ、オーストラリアヒノキ、カナダ杉などです。予算に応じて使い分けています。最近は腐らない木材を樹脂で固めた人工木材というのもありますが、価格が高く質感がいまいちなので、今のところは使っていません。 空中にテラスを設ける場合、下に光を落とすことためにグレーチングにして一石二鳥の効果を生むという方法もあります。
隣地間隔の狭い日本の環境では、他からの視線が気になってなかなか思い切って外に開くことが出来ませんが、ルーバーで囲われていれば、目隠しをしつつ光や風を取り入れることができるので、プライバシーのことを気にせずに思いっきり外に向かって開くことが出来ます。材料は木ならば、デッキ材と同じものを使用しますが、頑丈な仕様にしたい場合は、スチールにするという手もあります。
緑のない家は殺風景なものです。植栽を建築にはじゃまなものとして植えない方もいらっしゃいますが、私は、むしろ積極的に緑を取り込みたいと思います。ただ、緑はたくさん植えればいいというものではなく、多すぎるとじゃまですし、陰気なうっとおしい空間になってしまいます。利用に彩りを添える程度にとどめるほうが、緑も引き立つしすっきりとした空間になると思います。 庭や植栽のデザインは私が考えますが、植える樹種や植える場所については植木屋さんとやりとりをしながら決めてゆきます。植物は生き物ですので必ずしもイメージ通りにいくわけではなく、生育条件や植物の性質もよく考え、むしろ植物の特徴を生かすように考えます。樹形や葉の形、幹の色、落葉か常緑か、花や実の特徴、日照、通風などの生育条件や植えるスペースの問題、成長度や虫害や公害への適応性なども考える必要があり、そういうことは長年植物と接している植木屋さんの方がはるかに詳しいのは言うまでもありません。植木屋さんは施工業者に出入りしているところでも良いですが、建物とは別なので懇意にしているところに直接頼むことも可能です。
エントランス、アプローチ、門、カーポートといった部分は、家の雰囲気を形づくる部分ですが、今は昔と違って車社会ですから、車のためのスペース確保と車の取り回しが優先されることは仕方がありません。車への依存度が高ければ高いほど、徒歩でのアプローチより、車をどう乗り付けてどう建物に入るかの方が重要になります。 車は機械ですのでとりまわしの融通は利きませんから、道路と車と建物の関係、車と人の関係をどう解くかはプランニングの初期の段階から考える必要があります。うまい配置ができれば、目的の半分以上は達成されたようなものです。車にどの程度のスペースを割り当てるかはケースによりますが、あくまで人が主役ですから、最低限人のアプローチは損なわれないようにし、できるだけ、家の顔にふさわしい表情を持たせることができればと考えています。 門については、昔のように家の格式をあらわすものではなく、現代の住宅ではむしろ敷地に入れないようにする防犯的な性格の方が強いといえます。ここでも車の入口と人の入口をどう区別するかが主要なテーマです。別々にする考えもありますし、引戸や開戸を組み合わせて人と車を1箇所からまとめて入れる考えもあります。どんなふうに構成するかはケースバイケースです。 |
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キッチンセットをどのように考えるかはピンキリです。最小限のシンプルなものでいいという方もいらっしゃいますし、面材や設備もグレードの高いものを用い、細かいしつらえを望む方もいらっしゃいます。私の事務所では、コスト、使い勝手のご要望に合わせて、メーカー製システムキッチン、特注キッチンメーカーによるオーダーキッチン、家具工事としてのキッチンいずれにも対応していますが、空間にピッタリ合ったオリジナルなキッチンがある意味では理想なので、ローコストでのオーダーキッチンを基本としています。メーカー製のシステムキッチンを使う場合でも空間にぴったり納まるよう、造作部分とうまく組み合わせるなどの工夫をしています。 ・メーカー製システムキッチン
・特注キッチンメーカーによるオーダーキッチン
・家具工事によるキッチン
ガスレンジorIHヒーター、オーブンレンジ、レンジフード、食器洗浄機、浄水器など、キッチンには多くの設備機器があります。どの製品を使うかはケースによりけりですが、業界の評判や口コミ情報などでおすすめ製品というのはある程度決めています。ただし、この分野も日進月歩ですので、極力最新の情報に更新するようにしています。こだわりがなければこちらでおすすめする製品を、ご希望があればその製品を使うようにしています。
給湯は大別すると、熱源の種類によって石油、ガス、電気に分かれます。どれを採用するかは、調理器具と暖房システムとの関係によって決まります。調理器具がIHヒーターで良ければ、給湯も電気、暖房も電気とし、オール電化住宅とするケースが増えてきました。深夜電力を使いお湯を貯めておくエコキュート方式にすれば、イニシャルコストの増加分も数年で元が取れ、ランニングコストを含めたトータルコストは割安となりますが、貯水槽の置き場所を確保する必要があります。また、規模の大きい住宅や寒冷地の場合は、暖房については石油またはガスでないと電気では能力的に厳しいので、給湯もガスや石油に合わせた方が良い場合もあります。
蛇口やシャワーなどの水栓金物や洗面器などの衛生陶器は1日何回も使うものですから、ちょっとぐらい高くともデザイン性に優れたものを選ぶことをおすすめしています。最近ではシンプルで機能性にも優れたものが以前よりも低価格で入手できますし、多少高いものを選んでも家全体でも数個ですから、それほどコストアップにはなりません。
狭小住宅であってもバスルームはそれなりの広さを確保するようにしていますので、バスタブも最低限足が伸ばせるくらいのものを選ぶようにしています。材質は、予算がある場合は質感に優れ傷つきにくいホーローをおすすめし、コスト重視の場合は、アクリル、FRPなどを選んでいます。 |
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エアコンや換気扇はむやみやたらにつけるのではなく、空気の流れを考えつつ空間デザインと調和するように考えています。私の場合、吹抜が多く空間の容積が大きいので、冷えない、暖まらないということが起こらないよう、問題がありそうな場合は熱負荷計算(必要冷暖房能力を計算によって求めること)をしています。また、配管ルートや室外機の位置などにも配慮した設計をしています。 エアコンの機器については、壁掛け型のエアコンが一般的ですが、見た目重視の場合は壁埋込型や天井埋込型を使います。コストをあまりかけないでエアコンを目立たなくする方法として、壁掛け型のエアコンの前面に木のルーバーをつけるやり方がありますが、開口率、位置などに注意して、気流を損なったり、ショートサーキットを起こさないようにする必要があります。 換気扇については、浴室・トイレには必ず設け、洗面はケースによって、リビングダイニングなどのメインのスペースにもなるべく設けるようにしています。浴室に洗濯物を干すような場合は、暖房機能もある換気乾燥機にするという方法もあります。また、夏、熱が最も溜まりやすい吹抜の上部の部分には熱抜き用の換気扇を設けるようにしてます。無駄な出費を避けるため、シックハウス対策用の24時間運転の換気扇はレンジフードや換気扇のひとつをそれにあてています。熱損失を防ぐ意味では全熱交換型の換気扇が望ましいといえますが、コストアップにはなりますので、予算次第というところです。
今まで手掛けてきた住宅にはほとんど吹抜がありますが、吹抜を設けると暖かい空気は上に行ってしまうので、床暖房が有効です。下から温めると温度がムラになりにくいことに加え、輻射による効果も期待できます。空気暖房と床暖房を比べると、床暖房の方が設定温度を低くできるので省エネにもつながります。 床暖房の最大の欠点は導入費がかかるということです。関東あたりの気候では、夏、エアコンで冷房するなら暖房もエアコンでまかない、足りない分はファンヒーターなどで補うというのが最も安く済むやり方です。関東で床暖房がなかなか普及しないのはそのためで、贅沢品という位置づけなのでコストもなかなか下がりません。
床暖房はメーカーの責任施工でやるよりも、施工店レベルでシステムを構築し、施工店の責任のもとで施工すれば安く済みます。そのようなやり方が普及している北海道などは非常に安いコストで床暖房が入ります。床暖房は要は温水パイプを床下に通せばいいだけなので、経験のある専門の工事会社であれば、十分にこなせます。私の場合、東京近郊の場合は、ふだんからつき合いのある東京の床暖房専門工事会社に工事を依頼することでコストパーフォーマンスを高めています。
床暖房を含めた空調暖房形式は、日々技術革新が進んでいる分野で、給湯との関係も相まって多種多様な形式が入り乱れているのが実情です。どの形式で行くかはイニシャル+ランニングを含めたライフサイクルコストで比較し、使い勝手、設置場所、給湯や調理器具(ガスorIH)との関係を含め、総合的に判断しています。 ・石油熱源温水式
・ガス熱源温水式
・ヒートポンプ温水式
・電気式面状発熱体方式
・電気式熱線式
設置エリアはリビングが中心となりますが、おすすめしたいのが浴室・洗面への床暖房の導入です。素足ですから足元の暖かさは非常に効果的で埋込式の床暖房は費用的にもそれほどかかりません。
ソーラーシステム(太陽熱利用の技術)にはいろいろなものがありますが、単に省エネ技術と考えると実はなかなか元はとれません。OMソーラーについても同様です。OMの場合は、省エネ技術と考えるよりも、空気を動かしながら暖房と同時に換気も果たせること、屋根裏や床下に空気を通すことで躯体の劣化を防ぐなどの効果も含めて考える必要があります。 また、OMソーラーは他のソーラーシステムと異なって、建物と一体化した空間的な解決法ですが、多くの設計例を見ると悲しいことに設備ダクトが無骨に露出されているケースを多く見受けます。良いOMソーラーの設計は設備的な面だけではなく、ダクトの取り回しなど建築空間と一体的に納める設計能力が必要だと思います。 OMソーラーで意外に重宝するのが、室内循環モード。天井近くから集熱し床下に戻してやれば室内の上下の温度のムラが少なくなり、熱利用の効率化が図れます。
OMソーラーの循環モードが有効であることがわかったので、OMでなくても、天井近くの空気を吸い込んで床下に入れてやることにより、温度のムラをなくし、床から暖かい床下空気暖房システムができあがります。特に薪ストーブがある場合は、暖かい空気がどんどん上に上がっていってしまうので、このシステムは有効です。床下に戻すとロスも多くなるので、場合によっては床上の床面近くに吹き出す方がいい場合もあります。夏は逆向きに運転し、床から涼しい空気を吸い込んで天井に戻してやることにより、冷房の効率化を図ることも可能です。 |
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照明は実用性と演出性の両面がありますが、あまりに実用に偏るのも考えもので、6畳間の真ん中にひとつだけ照明をぶら下げるというようなやり方はしていません。ベースライトはダウンライトまたは直付けのシーリングライトとし、場面によって、ブラケットライト、アッパーライト、スポットライト、間接照明などの演出照明をミックスしています。変わり種としては床が光る照明などもやりましたが、面白い照明にはどんどんチャレンジしていきたいと考えています。 空間が大きい場合の照明計画は意外に難しく、光がどのように回るかが予想しにくい場合もあるので、迷ったら若干多めにつけるようにしています。住宅の場合は常にとは行きませんが、必要な場合は照度計算をおこなう場合もあります。また、住宅の場合の照明は住人が交換できる位置に設けることが原則で、階段回りや吹抜は届かないということがないようにしています。
スイッチは「ここでつけたい」と思う場所にないと不便なものです。位置は使い勝手のシミュレーションをした上で、クライアントと一緒に何回も確認するようにしています。また、夜間自動点灯スイッチ(玄関灯、門灯など)、3路スイッチ(階段・廊下まわり、寝室など)、遅れスイッチ(トイレ換気扇など)、タイマースイッチ(浴室換気扇など)などの便利スイッチも積極的に採用しています。
現代の住宅は一昔前とは比べものにならないほどの家電に頼った生活になっています。使用する家電が決まっていればその位置にコンセントを用意するのは当然ですが、掃除機やドライヤーなどの一時使用のものがあったり、予想もしない家電が今後出てくることもあり得ますので、コンセントは多めに取るようにしています。特に、キッチン、デスク、洗面台まわりにはいろんなものが来るので、きめ細かく取るようにしています。コンセントが多いのもあまり見栄えの良いものではないですが、コードが部屋の中をのたうち回るのだけは避けたいところです。
これらのものを総称して「弱電」と呼んでいますが、弱電設備は進歩が激しい上、クライアントによって要求レベルもまちまちです。何が必要かを良くヒアリングした上で必要設備や設置位置を決定していますが、将来の変更というのも考えに入れておかなくてはなりません。ジャックの位置は模様替えの可能性も考慮に入れ、配線に関してはできるかぎり配管配線(チューブの中に線を通し線だけを交換できるようにすること)とし、将来の変更に対応できるようにしています。 |
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住宅は何年持つのか?というのは建て主が最も関心のあるところだと思いますが、建物の場合、部分部分で耐用年数は異なります。部分部分が耐用年数を迎えたときにいかに適切なメインテナンスをするかで全体の耐用年数も大きく変わってきます。 大雑把に言って、構造体は木造の場合で40〜50年、RCだと60年〜、配管設備が30〜40年、防水、屋根、外壁、サッシュなどが20年〜30年、シールや塗装は5〜15年、設備機器は10年といったところが目安となります。もちろん、それは適切に施工されていることが条件です。ダメになる前に適切なメインテナンスを施せば、もっと長持ちさせることは出来ますし、逆にメインテナンスが悪ければ耐用年数も短くなってしまいます。例えば、屋根がダメになっているのになんの処置もせず、雨漏りなどを放置しておけば、40年持つはずの構造体が20年しか持たないと言うこともあり得ます。 結論として、適切なメインテナンスを施してゆけば、家自体は50年以上は持つと言えます。50年というと30〜40歳で家を建てられた方が、おおむね一生その家で過ごせる年数です。私の場合も、せめてその位は持たせるように設計しています。それ以上となると明確には言えませんが、仮に100年以上持たせるとなると、現在使われている一般的な材料や構法では難しいと言えます。表面の材料は取替がききますが、下地に使われている合板や金物類、あるいは隠蔽されている設備配管などがそこまでの耐久性を考えていないからです。最近、「100年住宅」や「200年住宅」といった表現が多く見受けられますが、100年後なんて誰も見ていないし、責任も負う必要がないのでキャッチセールス的にいいかげんなことを言っている場合がほとんどです。
では、建物を少しでも長持ちさせるためには具体的には何をすれば良いのでしょうか?
と、やるべきことはわかっているのですが、現実には一筋縄ではゆきません。まず長持ちさせるにはお金がかかるのが最も大きな問題です。いい材料、長持ちさせる構法いずれもその分お金はかかりますし、寸法や納まりの面でうまく行かない場合も多いです。古い民家などは何百年も平気で保っていますが、それはいい材料が使われているだけでなく、家全体がすけすけで断熱も設備機器もない素の状態だからです。現代の住宅は高断熱・高気密で内外温度差が高く、結露しやすい状況がおのずと生まれます。そういう状況の下で壁体内の結露を防止しつつ、耐震性も上げ、設備の配管なども上手に納めなくてはなりませんが、コストアップになるのでいたずらに仕様を上げたり手間のかかる方法は使えません。 したがって、コストパーフォーマンスを考えた最も現実的な判断は、一般的に使われる使用頻度の高い材料、構法を選択し、それほどお金をかけなくとも耐久性の向上に結びつくことはできるだけやっておくという考え方になります。中でも、優先順位として是非お金をかけたい部分は構造体です。仕上の交換や配管のメインテナンスはその気になればやれますが、構造体はやり直しはききません。仕上や設備に関しては、できるだけ点検や交換ができるようにしておくことが望ましいといえます。 私の場合、合板の使用をなるべく減らし、使う場合は国産材の信頼できるものを使うようにしています。設備についても極力メインテナンスができるように配慮しています。それでも100年持つとは言い切れませんが、今後は100年を超える長寿命住宅にも積極的に取り組んでいくつもりです。
その際の基準となるのが、各団体から出されている仕様書と呼ばれるものです。建物の仕様を決定する最低の基準はもちろん法律や条例でこれは必ず守らなくてはなりませんが、法律や条例はあくまで最低限のものですから、法律や条令を補完するより高い性能規定が必要となるのです。よく使うものとして、「日本建築家協会共通仕様書(建築、設備)」、住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)の融資工事の際に使う「住宅金融支援機構共通仕様書」、住宅性能保証制度を使う際に使用する「性能保証住宅設計施工基準」などがあります。 私の場合、金融公庫融資工事や性能保証住宅ではそれぞれの仕様に従うことはもちろんですが、そうでない場合もこれら3つの仕様書にできるだけ沿うようにしています。設備については学会などで出しているさらに細かく規定された仕様があり、個別に図面に表記しています。
家にも機械製品同様、保証期間があります。保証期間というのは、通常の使用の状態で期間内に発生する故障や瑕疵について無償修理を行う期間であり、耐用年数とは別物です。構造体と雨漏りに対しては建築基準法で10年保証が義務づけられています。その他の部分については通常は2年で(一部のものは1年)仕様書などで規定されています。個別に保証書がつく機械設備はそれぞれの保証期間となりますが、たいていは1〜2年です。 住宅保証機構による10年保証制度は、施工が確実に行われているか現場審査がある点と、保険により業者が倒産しても保証が受けられる点でより安心であるといえますが、保証期間自体が長くなるわけではありません。また、最近の傾向として、特にハウスメーカーなどが保証期間の延長を謳っているところが増えてきています。それ自体は良いことと思いますが、保証期間が長くても必ずしも耐用年数が長いということにはならないことには注意してください。たとえば、構造体が30年くらいしか持たなくても仕上材が20年以上持つ仕様であれば、20年の保証は出せるわけです。 いずれにしても保証期間は最低の義務であって、保証期間を超えてどれだけ長持ちさせるかが重要だと思います。
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植本計画デザイン
代表:植本俊介(建築家、建築士),住宅設計を中心に手掛ける建築設計事務所
得意分野:木の家や混構造(コンクリート+木)の家。狭小住宅、ローコスト住宅も手掛けています。
対応する構造:木造、コンクリート造、鉄骨造、混構造
受注エリア:南関東(東京、千葉、埼玉、神奈川)が中心ですが、群馬、栃木、茨城、山梨、長野など近県も対応。岐阜や北海道でも設計監理の実績あり。
設計上のキーワード:木,自然素材,無垢材,門型ラーメン,構造あらわし,エコロジー,断熱,外断熱,分離発注,材工分離,OM,オール電化,床暖房,エコキュート,庭,中庭,坪庭,テラス,デッキ,ルーバー